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2012年2月25日土曜日

お母さんたちとの面接

気づいたら、先にやたら危険な状況晒してから1ヶ月。
2月はバタバタしていたのでそんなに経ってたなんて気づきませんでした...。
まぁ、悪いことではないですよね。

さて、2月に入り学校も本格的にクラスが動くようになってきました。
というか、日本と比べちゃうと「今年の授業の運び方や図書室利用の割り振りなんか、去年のうちにやっとけよ!」って感じですけどね。
以下、今年に入ってから行ったもの。
・入学登録した子のチェック
・配る物品の確認(貧困層の子対象)
・図書室やPC室の私用クラス割り振り
・各クラスの時間割作成

ま、ほかにもいろいろ。ちなみに4クラスあるんですが、つい先週まで先生が一人足りず(笑...うしかない)、二クラス合同でやってましたね。
そういうのにも、「ま、そんなもんか」と思えるようになってきた、気づけばコロンビア生活8ヶ月。

2月は、各クラスで新規に入学した子供たちのお母さんと面談し、家族や家での生活状況をチェックしました。
新規入学といっても、学齢やレベルごとに4クラスに分けられているので1年生とか進級とかはないんです。
従って新規入学というのは、今年からうちの配属先に通うことになった子、ってことです。

うちの職場はNGOで、貧困層の子供のための社会保険を使ってきている子が主に来ています。
そういう家のお母さんたちと面接、なかなか自分の目で見れない部分なので(貧困層区域は総じて危険なので立入禁止)興味深かったです。もちろん、OTとしても子供の生活状況が見えるので介入しやすくなります。
・家族構成
・経済状況
・家ではどのように過ごしているか
・親が仕事している場合はだれが面倒見てるか
・子供が何かしでかしたときはどう対応しているか
・生活動作(食事とか着替えとか)の自立状況

などなど。日本でのOT初回の時の面接と変わりませんね。
あ、ちなみに全部先生が質問してて、私は辞書片手にリスニングの勉強状態。

で、答えはぜんぜん違う。
まず家族状況。
「誰と住んでるの?」
「(子供から見て)パパとおばあちゃんと...」
「血のつながったパパ? 継父?」
「継父よ」
っていうのは多いです。
コロンビアの離婚歴はとっても高い。だからバツイチは割と普通。
バツイチ同士が一緒に住んでることも。

後は
「別れた旦那は階下に住んでて、私が仕事の時に面倒見てるわ」
とか
「オレは嫁と別れたけど、この子に毎日会って送り迎えしてる。」
とか。

後ちょっと衝撃で、悲しいのがシングルマザーのお母さんに
「この子の父親は?」
知らない
「知らないっていうのは、産まれた時にもういなかったの?
それとも産まれてからいなくなって今わからないの?」
「産まれた時から」
聞き直すことがいっぱい。
先生もそれ以上聞かなかったけど、子供の父親を知っているかどうかはわかりません。

これも、コロンビアの問題の一つ。
宗教上、結婚を決めるまで関係を持ちません、っていうんだけど実際には14歳や15歳で妊娠、そしてまた宗教上避妊も中絶も悪とされているのでそのまま産みます。
でも家は貧しい、社会保険使って医療費や育児に必要なものを負担してもらっても、家族全体の生活や教育は良くはならない。
言い方悪いですけど、陽気ではあるけど貧しく荒んだ乳幼児期を過ごし、物心着いた時からクスリをやっている大人や殺人を見て育つ。
ここに、殺人件数が多い理由の一つがある気がします。

それだけお金も物もなければ、盗るしかないない。
金持ちから盗るために殺す。
それを仲間同士で奪うために殺す。

リハビリの施設の方に社会保険経由できているあるお母さんが、息子が死んだと言って来ました。
ドラッグ、窃盗、が当たり前の15、16歳の息子。
何でも以前に仲間の一人を刺したとか、で、とうとうそいつらに見つかって復讐で殺されてしまったと。
日本だったら、映画か漫画の世界のよう。
でもコロンビアでは、すぐ隣りにいる人の身に起きていること。

そのお母さんの家は非常に貧しい家です。
シングルマザー、無職、性格か教育か言動はざっくばらん、彼女が仕事をしていないのでお金はもちろんありません。生活用品も、食事もありません。
リハに来る子供たち(二人来てる)は、ガリガリ、お風呂に入っていないらしく汚れて黒い、服も洗っていなそうな煤けた感じ。
子供もお母さんも、お風呂に何日も入っていない匂いをさせてくる時もあります。
お昼を食べずに(食べられずに)来ることもしょっちゅう。
連れてくるだけ良いんですけどね。
(というか、社会保険使っている以上連れてくることは義務なので、怠るとセラピスト側から報告を出します。)

でも彼女が仕事に行ったら子供の面倒を見る人はいません。
セラピスト達は「子供を里親に預け、その間に働いてお金を貯め、生活を改善しないと」と言います。
実際子供たちは一時期里親のところにいましたし。
でも母親は「私の子どもだから渡さない!」と。

権力を持った社会保険が仕事をしていない、っていうのもあるんですけど。
貧困層に生まれ、満足に教育を受けられず、その結果まともな職に就けずお金は手に入らない。
このループ。
それでも笑って生きてるコロンビア人はすごい。
でも、時には笑わずに子供を守ってほしい。
大きくなってひもじさから殺人をしたり、窃盗をしたりしないように。
それが当たり前だと思わないように。

さて、最後に面接ちょこっと。
経済状況なんて日本では聞きにくいことですけど、こっちではすでに保険使って来ているっていうのもあってさらさら答えます。
そしてさすがコロンビアなのが、仕事の時は母が隣から来て、とか姉が見ててくれるとか、そういう家族間の助けがとっても多いんですね。
そういうとこすごいなぁ、大好きだなぁ。

だから、余裕のある国の余裕のある者からの支援、ではなく、
好きな民族のためにできることを、という気持ちになる。
そう思わせてくれる彼らが、好きですよ。

4 件のコメント:

  1. 日々の活動お疲れ様。
    「好きな民族のためにできることを」って素晴らしいなぁ。俺はドミニカ人の悪い所ばっかりが見えて、「お前らのために俺は頑張るぞっ」って気持ちにはあんまならん…。
    泣いてる患者、痛がってる患者が目の前におるからこそ、今なんとかやっていけてるって感じやわ…。よく言われる「何のためにおるのか分からん」って状況なら、ドミニカ人に嫌気がさして帰ってるよー。笑
    俺も相手のいい所を見れるようにならんとなぁ・・・

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    1. Lily氏
      正確に言えば全部が好きではないよ。
      ふざけんな!とか、お前らに教えてもどうせやらないだろ!とか思うこともある。
      でもずっとそう思わせない雰囲気を彼らは持っていて、それがこの国の国民性かなぁ。私の任地は特別陽気だし。
      あと、やっぱり子供への愛情が見えるから、「じゃぁ手伝ってやるかな」「子供のためだぞ?」って思ってしまう親バカならぬOTバカ(笑)
      リハ職はもれなく、担当バカ、リハ職バカ、なのかもね!

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  2. お久しぶりです(o^^o)
    渡邉瞳ですが、覚えていますか⁇
    串田さんのフェイスブックに紹介されてたのでブログ拝見させてもらいました☆
    どこにいても岡本さんらしくてニヤニヤしてしまいました(=^ェ^=)
    もうすぐ育児休暇を終え、復職の日が近づいていてドキドキしています。
    暑いところでも風邪ひくのですね⁉
    体調や身の安全にお気をつけて( ´ ▽ ` )ノ
    岡本さんに会える日を楽しみにしております♡

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    1. 瞳さん
      お久しぶりです、こんなものでも読んでくれてありがとうございます。
      きっとまだまだ野良猫に見えるんだと思いますよ、相変わらずです(笑)
      風邪といってもさすが暑いところ、大したことにならないので助かっています。ここは年中初夏なので、日本に帰った時に四季の変化についていけない気がしてドキドキです...。
      職場のこと、街のこと、国のこと、ちょこちょこ紹介していきます。暇つぶしにまた来てください。
      私も瞳さんとベイビーに会えるのを楽しみにしています♪

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